重金属不溶化システム
不溶化資材の不溶化システム
重金属を物理的に吸着するのではなく、化学的に吸着し資材の中に取り込むシステムにより、外的環境から影響を受けにくく長期的に安定します。
物理吸着(表面吸着(外圏錯体))
Fe、Ca、Mg、Al等の一般的な無機系の不溶化・吸着資材、固化資材は、主にこれらの元素の酸化物や水素化物が吸着媒体となります。
この場合、重金属は物質表面に水和した水分子への吸着です。
僅かな環境の変化(pH等)などで溶出(放出)の可能性があります。
化学吸着(内圏錯体)
日鉄住金環境不溶化資材は、吸着媒体の構成要素の一部と置換して吸着され、構造に入り込みます。
表面吸着に比べて化学的に安定しております。
ロックエースF
ロックエースFは、ヒ素、フッ素、ホウ素などの重金属類の溶出を抑える効果があります。
汚染物質を含んだ土壌や灰にロックエースFと水を加え混合しますことで、資材中の成分が反応し鉱物化します。
その際に汚染物質を結晶中に取り込み溶出を抑えます。
なお本資材は中性~弱アルカリ環境で効果を発揮しますため、対象物によっては軽燃マグネシア・硫酸アルミなどを併用してpH調整を行います。
※均一な分散と反応促進のために施用時には適度な水分が必要です。
- 対象物質
- ヒ素、セレン、リン、六価クロム、アンチモン、
フッ素、ホウ素、鉛、亜鉛、カドミウム - 供給形態
- 粒状
- 使用可能pH
- 6~10
- 添加量(目安)
- 個体:2~5%
吸着層工法
不溶化資材の不溶化システム
吸着工法は、重金属を吸着・不溶化する資材を施設した地盤(吸着層)の上に汚染土壌を盛ることで、降雨、土壌浸透水により汚染土壌より浸出する重金属を吸着により捕集し、不溶化することで地下水水質を保全する浄化工法です。
吸着工法概要
- 工法概要
-
吸着性能を有する不溶化剤と現地発生土(又は購入土)を混合、盛土基底部に施設(吸着層)。
原地盤と重金属含有りずりの接触を防止し、浸出水をトラップすることにより、重金属の溶出を環境基準値以下に抑制、土壌および地下水への汚染の拡散を防止する。
- 資材
- ロックエースF
- 条件
- 吸着層母体と重金属吸着資材を現地で撹拌し、最下層に敷設する
- 移動式撹拌プラント
- バックホー・スタビライザ
- メリット
- 混合等で取り扱う土量が10分の1以下になり、施工の簡素化、後期の短縮ができる。
汚染土壌の寮と濃度に合わせて、設計を進めることができる。
水処理施設が不要。
吸着工法が効果・優位性を発揮するケース
汚染物質が同種で比較的同程度の均質な汚染土壌の対策
広範囲或いは膨大な汚染土壌の円滑な処理が必要な現場
- ・トンネル工事
- ・山間部の大規模造成
- ・河底、港湾のに伴う重金属の集積した
- ・大規模工場跡
ハイドロタルサイト系不溶化剤「マインエースF」
性状・外観
- 資材名
- マインエースF
- 主要対象元素
- ヒ素、鉛、フッ素、カドミウム、セレン(IV)、亜鉛、鉄
- 資材pH
- 約8~10
- 使用可能pH目安
- 5~12(好適には7~11)
- 嵩比重
- 約0.8~1.0
- 真比重
- 約2.7
- 性状・外観
- 灰白色顆粒状(平均粒径0.15~2.0mm)
- 対象物
- 不溶化処理用
- 荷姿
- 1m3フレコンバッグ入り
- 備考
- 層状粘土鉱物材料を機能性分として含む
マインエースFの重金属不溶化作用
マインエースFは、重金属類の不溶化処理に実績のある層状粘土鉱物材料(ハイドロタルサイト)を機能性分とし、微小な多孔質顆粒状に成形加工した不要か資材です。(特化出願中)
マインエースFは、ヒ素、鉛、フッ素、セレン(IV)、亜鉛、カドミウムなどの重金属類を吸着して溶出を抑える効果があり、汚染物質と混合することで汚染物質を不溶化します。
マインエースFの作用機構
従来の不溶化資材では、施工現場で資材と水を含む汚染土壌が反応して、不溶化機能を有する水和鉱物に変化していましたが、マインエースFでは、より不溶化能力の高いハイドロタルサイト系層状鉱物を生成させるため、予め工場にて層状鉱物を形成する状態にまで加工することで、従来品より敏速で安定的な重金属類の不溶化処理を可能としました
ロックエースFの吸着機構と一般的な吸着資材との違い
物質は水に濡れると物質の表面が薄い水分子の膜で覆われる。この現象を水和と呼びます。一般的な不溶化資材での吸着機構は、水和状態になっている表面に各種のイオン化した重金属類が静電気的に引き寄せられて吸着します。これを表面吸着といいます。この表面吸着は、物質表面の電気的な状態や、周囲の環境により変化しやすいことから、表面吸着した重金属イオンは離れ易い状態になっています。
一方、ロックエースFの吸着機構は、吸着性能を有する鉱物類によるものであり、生成した鉱物中の陽イオンと鉛やカドミウム等の置換、更には鉱物中の陰イオンと砒素、フッ素等の置換による化学結合です。この化学結合による吸着・不溶化機構を化学吸着といい、鉱物類の構造中で化学的に結合することにより、重金属類を保持するため、表面吸着に比べてはるかに安定です。